【就業規則】ハラスメント規程、形だけになっていませんか?(2026.8.24)
ハラスメント規程、形だけになっていませんか?
「ハラスメント防止規程はありますか?」と聞くと、「もちろんあります」と答える会社はずいぶん増えました。
では、もう一つ。
「従業員の皆さんは、その内容や相談窓口を知っていますか?」
そう聞かれると、少し自信がなくなる会社もあるのではないでしょうか。
ハラスメント対策で大切なのは、規程をつくること自体ではありません。いざというときに、その規程がきちんと“使われる状態”になっているかです。
📞 相談窓口、「名前だけ」になっていませんか?
規程には「相談窓口は○○部とする」と書いてある。でも、
誰に相談すればよいのか分からない
相談した内容が周囲に漏れそうで怖い
「これくらいで相談していいのかな」とためらってしまう
そんな状態では、窓口があっても十分に機能しているとはいえません。
厚生労働省の指針でも、相談窓口を定めて周知するだけでなく、ハラスメントに該当するかどうか微妙な段階も含め、広く相談に対応できる体制が求められています。
大切なのは、「ハラスメントと確定してから相談する場所」ではなく、「ちょっと気になる」「つらい」と感じた段階で相談できる場所にしておくことです。
⚖️ 「どこからがハラスメント?」を共有する
ハラスメント対策を難しくしているのが、その“境界線”です。
たとえばパワーハラスメントは、単に「厳しく注意された」「嫌なことを言われた」というだけで決まるものではありません。
職場のパワーハラスメントは、
①優越的な関係を背景とした言動
②業務上必要かつ相当な範囲を超えている
③労働者の就業環境が害されている
という3つの要素をすべて満たすものとされています。
とはいえ、法律の定義だけを読んでも、現場ではなかなか判断できません。
だからこそ、「こんな言い方は避けよう」「指導するときは人格ではなく行動について伝えよう」など、具体的な事例を使って会社の中で共通認識をつくることが大切です。
💭 規程をつくって終わりにしない
ハラスメントは、悪意のある人だけが起こすとは限りません。
「昔はこれくらい普通だった」
「本人のためを思って言った」
「冗談のつもりだった」
そんな認識のズレから問題が生じることもあります。
そのため、規程を一度配布しただけでは十分とはいえません。管理職研修や社内ミーティングなどを通じて、定期的に考える機会をつくっておきたいところです。
🔍 ハラスメント対策を機能させる流れ
規程を整える
↓
内容・相談窓口を周知する
↓
相談を受け止める
↓
迅速に事実確認する
↓
必要な対応を行う
↓
再発防止・社内教育につなげる
規程は、この流れの「スタート地点」にすぎません。
| ⚠️ 形だけになっているサイン | ✅ 機能させるポイント |
|---|---|
| 窓口はあるが知られていない | 担当者・相談方法を具体的に周知 |
| 「ハラスメント禁止」だけ | 具体例を使って判断軸を共有 |
| 規程を作ってから見直していない | 研修・周知・運用を定期的に確認 |
🌱 「相談できる会社」であること
ハラスメント対策というと、「問題を起こさないためのルール」と考えがちです。
でも、本当に大切なのは、問題の芽が小さいうちに声を上げられ、会社がきちんと受け止められることではないでしょうか。
規程があるから安心、ではなく、規程が使われるから安心。
一度、自社のハラスメント規程を開いてみてください。そして、「この規程は、実際に何かあったときに機能するだろうか?」という視点で見直してみるのもよいかもしれません。
📌 なお、2026年10月1日からは、カスタマーハラスメントと求職者等に対するセクシュアルハラスメントについても、防止措置が事業主の義務となります。 この機会に、ハラスメント規程全体と実際の運用を一緒に点検しておくと安心です。
