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【コラム】「あの人がいないと回らない会社」のリスク 🏢(2026.8.10)

「〇〇さんに聞いて」が口ぐせになっていませんか

ベテランのAさんは、頼れば必ず答えてくれる。請求書の締めも、あの取引先の癖も、機械の直し方も、全部Aさんの頭の中。──とても心強い存在です。

ただ、この状態には別の名前がついています。**「属人化」**です。

属人化は、事故のように突然起きるわけではありません。日々の「今日も無事に回った」の積み重ねの中で、静かに進行します。そして気づくのは、たいていAさんが休んだ日なのです。

【属人化の進み方】

第1段階  Aさんが詳しい     →「頼りになるね」😊
第2段階  Aさんしか知らない  →「まあ回ってるし」😐
第3段階  Aさんが休めない    →「困ったな…」😰
第4段階  Aさんが辞める      →「聞いてない!」🚨

リスク① 引き継げない、そして「休ませられない」😥

まず起きるのが業務停止リスクですが、実は労務管理上の法的リスクも同時に発生しています。

場面何が起きるか
有給を取らせられない年10日以上付与される人には、年5日を取得させる義務があります(労基法39条7項)。違反には30万円以下の罰金(同法120条)
「忙しいから」と拒否使用者の時季変更権は「事業の正常な運営を妨げる場合」に限られます。代替要員の配置が可能なのに配慮せず行使することは許されない、とした判例もあります(弘前電報電話局事件・最二小判昭62.7.10)
突然の退職退職日をもって年休権は消滅するため、残った有給をまとめて消化されると時季変更権は行使できません。引き継ぎ期間はゼロになり得ます

「Aさんしかできない」は、法律の前では言い訳になってくれません。むしろ属人化を放置した経営判断のツケが、法的リスクの形で返ってくる、というのが実務での実感です。


リスク② 評価ができない 📊

仕事の中身がブラックボックスだと、上司は評価しようがありません。結果、評価は「たぶん頑張っている」という印象論になります。

これは本人にとっても不幸です。**頑張りが言語化されないまま「なんとなく高評価」**では、昇給の根拠を本人にも他の社員にも説明できません。周囲からは「何をしているかわからないのに評価が高い人」に見えてしまう。せっかくの貢献が、不公平感の火種にすり替わってしまうのです。


リスク③ 組織が成長しない 🌱

厚生労働省の令和7年度「能力開発基本調査」では、能力開発・人材育成に何らかの問題があるとする事業所は80.1%。その最大の理由は「指導する人材が不足している」でした(令和6年度調査では59.5%)。

属人化した職場では、Aさんは自分の仕事で手一杯で教える時間がなく、若手は「見て覚えろ」と言われて育たない。そしてまた新しいAさんが生まれない──この循環が続く限り、組織の器は広がりません。

2025年版中小企業白書でも、業務の脱属人化に取り組む事業者は付加価値額の変化率が高い傾向が示されています。属人化の解消は、守りではなく攻めの一手なのです。


まとめ:制度は、人を縛るものではなく守るもの 🤝

「制度を作る」と聞くと、堅苦しく感じるかもしれません。でも本質は逆です。制度とは、特定の誰かに背負わせていた重荷を、組織で分け合う仕組みのこと。

大がかりな改革は要りません。まずはこの3つから。

ステップやること効果
① 見える化「誰が何をしているか」を1枚の表に属人化業務が浮かび上がる
② 言語化手順を箇条書きでメモ程度に残す完璧なマニュアルは不要
③ 分散年に数回、担当を入れ替えてみる有給も取りやすくなる

Aさんが安心して休める会社は、Aさんが辞めない会社でもあります。属人化の解消は、実は一番の人材定着策なのかもしれません。

「うちはどこから手をつければ?」──そんなご相談も、お気軽にお寄せください。☕

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